秘書課恋愛白書
戸惑う心と疑う影
社長と出掛けたのが土曜日。
一日中考えて考えて、社長のことで頭がいっぱいになったのが日曜日。
そして今日、出社の月曜日。
ああ…昨日もやっぱり眠れなかった。
考え始めたら止まらなくなってこんな気持ちになったのはいつぶりだろうか。
揺れる満員電車の中で眠い目をこすった。
車内に降車駅を知らせるアナウンスが流れて重い腰を上げる。
仕事に頭を切り替えなくては。
こんなことにうつつを抜かす前に私は秘書でしょ!
でも…
あんなに嫌だった出社が楽しみだと感じるのもきっと社長のおかげ。
社長に会えるのが…
嬉しいと思ってしまう。
足取りも軽やかに平日の日課であるコンビニで習慣となっているコーヒーを購入して出社する。
会社のエントランスをくぐって役員フロアへと通じるエレベーターホールでエレベーターを待っていると後ろからトントンと肩を叩かれた。
誰だろう?
振り返るとそこには営業1課の飯島さんがいた。
「飯島さん!おはようございます」
「中原さーん、おはようございますー!ねぇ、今日のお昼一緒にどう?」
「ぜひぜひ。行く頃に連絡しますね」
よかったと笑顔で手を振って営業フロアへと向かうエレベーターへと歩いて行った飯島さん。