秘書課恋愛白書
わざわざランチのお誘いをするためにこっちに寄ってくれたのだろうか。
飯島さんにも、昨日までの出来事を報告出来たらいいな。
お昼までに楽しみが出来たところで頭を仕事モードへと切り替えてエレベーターに乗り込んだ。
ふぅー…と重厚な扉を目の前にして軽く深呼吸。
今までとはちょっと違う気持ちで迎える月曜日。
あんなに嫌だった月曜日を心待ちにした今日。
いろんな意味でどんな顔して社長に会おう。
いつも通り自然な感じを心掛けて……
もう一度深く深呼吸したところで、目の前の扉に手を掛けると…
「きゃ!」
「おっと…」
扉が自然と開いて思わずよろけてしまった。
顔面から転ぶと思ってギュッと目を閉じたが痛みは襲ってこない。
あれ…痛くない…?
不審に思ってゆっくりと目を開けると目の前には、社長。
社長に抱きとめられていた。
「あんまりにも入ってこないから何事かと思って」
「お…おはようございます」
それは貴方に会う前に心の準備をしていたんですよ、なんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。