秘書課恋愛白書

「おはよ」


フッと口元に笑みを浮かべた社長に緊張を隠せない。

…この人の微笑みは破壊力があって心臓に悪い。

私が来たことわかっていたのか…

それはそれでなんだか恥ずかしい。

抱きとめられていた体を起こして、ありがとうございますとお礼を言うとすんなり体を放された。


あれ、いつもならここで何かかしらあるのに。

そんな風に拍子抜けしてしまう自分も相当社長に毒されていると感じる。

社長は室内へと再び踵を返すとぐーっと伸びをして自分のデスクへと戻っていった。


そうだ…仕事仕事。

自分の本分を忘れるわけにはいかない。

後を追いかけるように社長室に私も足を踏み入れ、本日のスケジュールの確認をするのだった。



社長は真面目に仕事をこなしてくれる。

そんな姿をチラッと横目で見つつ私も今日の仕事を一つずつ片付けていく。

凄くペースも良いし、前よりも気持ちが軽くなった気がする。

ただ、社長に告白されてからというもの意識しすぎて時々仕事中ってことを忘れてしまいそうになった。
< 242 / 320 >

この作品をシェア

pagetop