秘書課恋愛白書
「貴女がいながらそういう勘違いをさせること自体間違ってるんですよ。それにそこにいた女性?も何やってるんだか」
「あのー…、それについてなんですがもし知っていたら教えてください。灰田さんはKANDACorporationの社長がどんな方がご存知ですか?もしかして、女性だったりしますか?」
私の問いかけに固まる灰田さん。
数秒間があいてガックリと肩を落とすと盛大に溜息をついたのだった。
「…その女性こそが中原さんの言う女社長です。先日社長に就任したばかりなので知らないのも当然ですよ。それと…」
「社長が"ずっと好きだった人"…ですよね」
「!?」
私が呟くようにそう言うと、顔を強張らせる。
きっと灰田さんのことだ。
オブラートに包んで、深くは言うつもりがなかったんだろう。
だが、こっちはもう確信を持ってしまったのだ。
「その顔、やっぱりそうなんですよね。見ちゃったんです。社長の部屋に飾られた写真立てを。社長と灰田さん、男の人が二人と真ん中に挟まれた女性」
「怜の部屋にそんなものが…」
「最初は全然わかりませんでした。写真を見た時もそこまで違和感を持たなかった。ただただ社長に好きだと言われるのが嬉しくて…っでも、社長室にいた女性が…私を見た瞬間に何かが崩れ落ちたんです」