秘書課恋愛白書

するとタイミングよく社長室の扉がノックされて失礼します…と聞き覚えのある声が扉越しに聞こえてきた。

ガチャリと扉が開いて顔を覗かせた人物に私は声を上げる。


「マ、マリカ!」

「え?あ、綾女…?ここで何してるの?!」


目をまんまるにして驚きの声をあげる。

だが私の顔を見た途端にサーッと顔色を変える。


「待って、なんで泣いてるの?!」

「黒崎さんお待ちしてました。今日はもう仕事を上がって、中原さんを自宅まで送り届けてください」

「え?え?は、はぁ……」


黒崎さん、とはマリカの苗字。


「灰田さん…でも…」

「僕にも責任があります。黒崎さんは中原さん連れてってください。ほら」



マリカはこの状況についていけないという顔をしたまま社長の用意した車に二人押し込められて私の自宅へと帰されるのだった。

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