秘書課恋愛白書
「確かに、一番遭遇したくなかった所に出くわしたかもしれない。けど、綾女の見間違いってこもあるんでしょ?」
「う、うーん…あんまりよく思い出せない、かも」
マリカの言う通りだ。
正直、気が動転していて細かく覚えてない。
「私は綾女のことが大事だからもちろん綾女の見たものを疑ってるわけじゃないよ?ただ、それ以上に綾女を好きになってくれた宮野社長を信じてみたくなったの」
「マリカ…」
「綾女のために変わろうとしたんでしょ?尚更だよ!だから今日は逃げ出しちゃったかもしれないけど、ちゃんと社長に自分の気持ちを伝えてお互いに話すべきだと思う」
さすが恋愛偏差値の高いマリカ。
諭すように話すマリカの言葉がスッと自分の中にすんなりと入っていくのがわかる。
そう、私はまだ自分の気持ちを社長に伝えてないのだ。
それなのにあんな所を見てしまって自信喪失。
でも、マリカは私を好きになってくれた社長を信じたいという。
私も……そう思いたい。
「綾女、宮野社長とちゃんと話した方がいいよ。このまま逃げても綾女が辛くなるだけだよ」
「うん…そうだね」
「宮野社長のこと、好きなんでしょ?」