秘書課恋愛白書

「だけどキミと過ごしていくうちに僕はちゃんとキミ自身に惹かれたよ」

「……っ」


優しく私の頭を撫でる手。


「しっかり者で、周りをよく見てて、時々笑う顔が可愛くて…」

「なによりもこんな僕を見捨てなかった」


それは…一応仕事だから。

秘書たるもの、雇い主である社長を全力でサポートするのが仕事なんだからこっちから見捨てるわけがない。


「だから、綾女が僕のことを嫌いと言ったあの時…キミに本気で好かれるためにはどうしたら良いかを考えて自分のダメなところを直した」

「どうすればキミが僕を好きになってくれるか自問自答を繰り返したよ。それほど綾女のことを好きになった」


そこまで、私のことを好きになってくれていたなんて。


「でも結局こうやって誤解を与え、傷ついてる綾女が目の前にいる。…本当にどうしようもないな」

「社長……」


ははっ…と乾いた笑いを漏らして情けないなぁと言う社長。


誤解…今、社長は誤解と言った?

やっぱり私の見間違いだったの?

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