秘書課恋愛白書
「だから、もう泣き止んでよ」
「…は、はい……っぐすっ」
テーブルに乗ったティッシュに手を伸ばして涙を拭くが、安心感からか一度気が緩んでしまったせいか、なかなか止まらない。
泣く必要はもうないと自分自身でもわかってるのに…
そんな私を見兼ねた社長が…
私の頬をペロリと舐めた。
「?!!!」
「んーしょっぱい」
「しゃ、ちょ…い、ま舐め…」
「ほら、止まった」
いきなりのことにビックリして社長の言う通り、止め処なく流れていた涙はピタリと止まった。
恐るべし、社長マジック。
ずっと床に座っていたせいで痺れた足を直すべく私たちは一度ソファーに座り直した。
鼻をかんで、涙を拭いて、私が完璧落ち着きを取り戻すまで社長はずっと側にいてくれて私を抱きしめていてくれた。
その感覚が心地よくて、私は身を預けた。