秘書課恋愛白書


「ハジメマシテ。宮野ホールディングス代表取締役社長、宮野 怜(レイ)今日からキミの上司。よろしく」



見兼ねた社長が口を開き私の頬に軽くキスを落とした。

チュッというリップ音が私を現実へと引き戻した。



「はぁああああああああ?!」


面白いくらい良い反応するね、と満足げに微笑む社長。

ほ、ほっぺにキスした…?


普段なら絶対に上司の前でこんな取り乱したりすることはないだろう。

だが今回だけは黙ってられない、冷静になれない。

あのBARで出会いマスターから"レイちゃん"の愛称で呼ばれてた彼が私の上司になる宮野 怜という人物で…



「み、宮野って言った…?」

「そ。宮野 怜、本名だよ。現会長は僕の父だ。正真正銘跡取り息子で宮野財閥の御曹司」



わかった?と言って私の髪の毛を掬う。

驚きの連発で思考回路ショート寸前。

これは由々しき事態だ。

仕事を投げ出さないタイプの私でも今回ばかりは無理かもしれない。
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