秘書課恋愛白書

そして…

ソファーに押し倒されていた身体が次の瞬間、ふんわりと宙に浮いた。


「ひゃっ!わっ!」


バランスを取れず、慌てて社長の首に腕を回した。

お姫様抱っこされてそのまま社長は隣の部屋へと歩いていく。

う、うそ…まさか。

バックンバックンと心臓の急速に鼓動を打つ。

ベッドルームへと移動して、社長は優しく私をベッドに押し倒した。


「…………っ」


さらり、と私の髪の毛を指で梳くと軽くおでこにキスをした。

真っ暗な部屋、視界が慣れてきて社長の顔がだんだんと浮き彫りになってきた。

社長が、私の部屋にいる。

そう自覚すると口から心臓が飛び出しそうになった。


「綾女…」


私の名前を呼ぶ声が上擦っている。


もしかして…社長も緊張してるの?

私だけじゃないんだ…

胸元でギュッと両手を握り締めると、社長の手が重なった。

社長の手も…気持ち震えてる気がする。
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