秘書課恋愛白書
「ははっ…ダメだ」
「え…?」
「あんなに綾女のこと自分のものにしたかったのに、いざしようと思ったら思うように出来ない」
顔を手で覆い、自虐的に笑う社長。
社長の言葉にブワッと顔の中心に熱が集まった。
それってつまり…
これからシようと思ったってことよね?
お互いに心があるだけで、こんなにも変わるものなのか。
そんな社長が愛しく思えてきて私はスッと手を伸ばす。
指先が社長の顔に触れて、スルリと形を確かめるように頬を伝い顎先まで撫でた。
その手に再び社長の手が重なってキスを落とされる。
手の甲、指先、爪にまで丁寧にキスを続ける。
手首にキスを落として強く吸い付いた。
その仕草一つ一つに目が離せない。
ピリッとする痛みにすら快感を覚えた。
キスを落とされたところにジワジワと熱を帯びていき手が汗ばんできた。
「抱いてもいい?」
「……っ!」
「綾女が嫌なことはしたくない」
社長はズルイ…
そんなギラギラした瞳に囚われてしまったら、私はもう逃げられない。
嫌じゃないと心は訴えている。
ただ、返答するのも恥ずかしくて視線をキョロキョロさせていると社長がスーツのジャケットを脱いだ。
そしてネクタイを緩めると私に覆い被さった。