秘書課恋愛白書
秘書が恋人
ー怜Sideー
愛しい人が僕の腕の中で寝息を立てている。
スースーと規則正しく聴こえる寝息にすら笑みが溢れてしまう。
顔に掛かった髪の毛を払っておでこに軽くキスを落とした。
綾女のことを好きになって、ここまで来るのにはもう少し時間が掛かると思った。
真っ当な恋愛をあまりしてこなかった僕の人生。
だから正直どれほど時間が必要なのか見当がつかなかった。
でも綾女の変化にはすぐ気付く。
告白したのを皮切りに、綾女が僕を見つめる眼差しが少しだけ前と違うことにはすぐ気付いた。
いい方向に向かっている、そう感じたんだ。
でもそんな時にまさか…
社長室で"彼女"といるところを見られてしまった。
『相談したいことがある』
そう連絡を受けたのは綾女がお昼に行った直後のことだった。
昨日の出来事を回想する。
連絡が来て、明凛が僕の元へ来たのは早かった。
近くに仕事しに来てたのよね、と言って現れた彼女を僕は後先も考えずに社長室に招き入れた。