秘書課恋愛白書
「ごめんね、急に押しかけるように来ちゃって」
「大丈夫だよ。そこ座って」
「ああー…っと大丈夫!話すこと終わったらすぐ帰るから。外で車を待たせてるのよね」
長話するつもりじゃないから。
そう言ってこの辺を一望出来る窓側へと足を進めるのだった。
この時気付くべきだったんだ。
綾女と明凛が鉢合わせしてしまう現実を。
今思えば、もう少し綾女と進展してから…
綾女を好きになった経緯や気持ちを伝えた上で、明凛に会わせるべきだったんだ。
ここからの眺めは本当に綺麗だね…と話し始める明凛の側に寄って耳を傾ける。
社長に就任したばかりの彼女はやっと僕達と肩を並べることが出来たと喜んでいたが、仕事は一筋縄ではいかず悩んでるという。
それと同時に色々なものが重なって、婚約者である親友の幼馴染と今結婚するのはタイミングが悪いのではないかとマリッジブルーに陥ってしまったというではないか。
「私、そんなに器用じゃないから…自分の代になった今やっと仕事にもやり甲斐を感じ始めたの。それなのに結婚式の準備とかに追われていくうちになんか違うかなって…」
「明凛…。アイツには話してないの?」