秘書課恋愛白書
そう聞くと首を横に振った。
「別にね、あの人ことが嫌いになったとかじゃなくて全部タイミングの問題なのよ。でも、向こうが話をどんどん進めている横でニコニコ笑っていられるほど私も完璧な人間じゃなくて…」
っていう愚痴です。と眉を下げて笑う明凛は少し疲れて見えた。
社長職は精神的にも大変なことが多々ある。
自分が就任した時のことや、大変だった時の記憶が脳裏をよぎり、明凛の苦労が伺えた。
「二人のことだからそんなに心配してないけど。アイツも舞い上がって明凛の状態に気づけないんだろうね。頭ん中お花畑なのが想像できる」
「お花畑って…ふふっ。たしかに私より葵の方が前向きで結婚式に力を入れてるのは否めないかな」
僕の言葉に笑う明凛の顔が少しだけ明るくなった。
「大丈夫、何年君達と一緒にいると思ってるんだ。アイツも話せばわかる奴だよ?明凛も溜め込まないでちゃんと話しなよ」
「うん、ありがとう…、怜先輩に話してよかった」
「それとさ、たまにはたけるたちも頼ってあげなよ。僕のところばっかり来てたらアイツら拗ねるよ?」
「えー?だってたける先輩からそういう浮いた話聞かないしこんな話したところで、知らんってバッサリ斬られるのがオチよ」
「まぁたしかに」
想像して、二人で顔を見合わせて笑った。