秘書課恋愛白書

「綾女、首まで真っ赤」

「誰のせいだと…!」

「僕。でもそんなところも可愛いよ」

「っ!」


この人はどれだけ私を惚れさせれば気が済むのだろうか。

怜が嘆く愛の言葉はいちいち私を喜ばせて甘くとろけさせる。

さーてと、と怜は私の腰をがっしり掴む。


「え…」

「綾女が可愛いからいけないんだよ」


ニヤリと笑みを浮かべると迫ってきた。

嘘…まさか、朝からこんな…

サーッと血の気が引いてく私は無理無理無理と首を振って拒否の姿勢を見せる。


「ちょっとだけだから」

「絶対ちょっとじゃない!!」


怜の胸板を押し返して拒むが、腕をがっしり掴まれて逃げられなくなってしまった。

ああ……仕事いかなきゃいけないのに。

そう思いながらも怜からの与えられる甘い刺激によって流されてしまうのだった。



***


社長室に向かう前に社長と別れて私は秘書課へと向かった。

扉の前で深呼吸をして手を掛けた。


「おはようございますー…」

「おはよう中原さん」


中を覗くと、三谷室長の姿。

朝一にも関わらず出勤している室長を見て安堵した。


「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」

「何もだよ。その様子からするに…うまくいった?」
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