秘書課恋愛白書
深々と頭を下げて謝り、その言葉の意味を数秒考えて顔を赤らめる私にニヤリと笑って見せた。
「社長の粘り勝ちだね」
「室長…!知ってたんですか?!」
「あの人分かり易いんだよ。気づいてないの中原さん本人くらい」
「そ、そんなぁー…」
自分のデスクに項垂れる私を室長はまぁ良かったね、といって肩を叩くのであった。
「ただいま戻りましたー…あれ?」
私が社長室へ着いた時、社長の姿がそこにはなかった。
朝一緒に出勤した時は特に何も言ってなかった。
まーた私に何も告げずにどっか行ったんだな…
相変わらず自由だこと。
そんな社長の行動にも慣れてきたところで、今日のスケジュールを確認して自分の仕事に取り掛かる。
ノートパソコンを開いてカタカタと仕事を始めて数分…
扉の外が騒がしくなってきてそちらへと視線を移すと、話し声が近くなってきて扉が開いた。
「お疲れ様で……あっ」
最初に社長が入ってきて、どうぞと言う社長の後ろから誰もう一人が足を踏み入れた。
「おはようございます、中原さん?でしたっけ。朝早くからすみません」
現れたのは、昨日の女性。
社長が好きだった…彼女。