秘書課恋愛白書

謝る私に頭をあげてー!とワタワタする。


「社長から聞きました。具合は大丈夫ですか?」

「全然大丈夫です!ご心配いただきありがとうございます」


明るくて笑った顔がとっても可愛くて…

よくよく話すと凄く周りに思いやりのある良い人で気付けば私も虜になっていた。


「でもね…まさか怜先輩の相手が秘書の中原さんって周りから聞いた時はびっくりして」

「私で、すみません」

「いえいえ、そういう意味じゃなくて!なんか嬉しいなーって」

「え?」

「近くにいるからこそ、怜先輩の良さをわかってくれた、ってことじゃないですか」


そう言って微笑む神田社長は自分のことのように喜んでいて私が相手で良かった、という。


「怜先輩が…私に好意を持ってくれてたのは学生時代のことで、もちろんそれはわかってました。でも私は私で怜先輩でなく別の人を好きなりました」


そのことに後ろめたさがあったんです、と少しだけ眉を下げて笑う。


「しかもそれで怜先輩が荒れているのも…周りから聞いて知ってはいたんです。でも、私は何も出来なかった」


恋愛はお互いが思うから成立するものであって、どちらかの一方通行だと永遠に叶うことはない。

この人にもきっと、思うところがあったんだ…
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