秘書課恋愛白書

「しゃ、社長!だから今は…」

「スキンシップ。スキンシップ」

「もー仕事中ですってば!」

「僕の仕事はもう片付いたよ」


クスクス笑って私の反応を楽しんでいるみたいだ。

後ろから首に腕を回して抱きつく社長を引き剥がそうとジタバタした。

そっと私の耳元に顔を寄せて口を開く。


「綾女、もう絶対離さないよ。このままずっと僕の側で僕に落ち続ければいい」


まるで何かの呪文のようにそう囁いて私を抱きしめる。

一度落ちてしまったものはもう元には戻れない。



学生時代の恋愛を引きずって、動けないままでいた私。

ずっと好きだった人へ片想いが実らず絶望の淵にいた社長。

始まりは最悪で、この仕事をしていなかったら絶対に出会うことはなかったであろう。

絶対に落ちないと思っていたのに、気づけばオチるところまでオトされていた。


私のために自分を変えようとした社長。

私を好きだと言ってくれた社長。

社長を好きになれたからこそ、一歩前に進むことが出来た。


仕事をする上での規則を破ってまで、この人の側にいたいと思った。

彼の与えてくれる愛情に応えれるように、これからも私はこの人の側に居続ける。


たとえ、それが"秘書"という形であったとしても…

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