秘書課恋愛白書
《番外編》
それは突然のことだった。
「どうか!この通りです!可愛い後輩のためだと思って!ご協力いただけませんでしょうか!」
「最後の最後にウチの会社のためだと思って!中原、お前しか説得出来ないんだ」
「ま、待ってください。部長もゆきちゃんも…とりあえず落ち着いて」
一体…なんだというのだ。
派遣秘書としてこの会社に勤めれるのも残り2週間。
それもこれも社長の独断で私の都合も考えずに引き抜きなるものをしたせい。
そりゃー…
社長のところで働けて、四六時中側にいてサポート出来るのは嬉しいんだけど…
でもあの人はタイミングってものをわかっていない。
やることなすこと考えることが時々本当に自由すぎてぶっ飛んでて先が思いやられる。
こうやって振り回される人生を受け入れるしかないんだけども。
短く溜息を吐いて目の前にそびえ立つ自社を見つめた。
Mキャリアから宮野ホールディングスへと正式に移動する準備の途中、挨拶やら業務の引き継ぎやらで私の日常は慌ただしく追われる毎日。
しばらくの間は勤めていたこの会社と、宮野ホールディングスを行き来する生活になる。
私が落ち着くまで三谷室長が時間を決めて一時的に社長に就いてくれる形態になっていた。