秘書課恋愛白書
久しぶりに戻った会社。
会社に踏み込むなり、会う人すれ違う人に好奇な目で見られて居た堪れなさを感じながら自分の部署である第1秘書課があるフロアへと向かう。
ああ…見られてる、本当にすみません。
部長や上層部に合わせる顔がない…
なんたって私は社訓を破った就業規則違反者なのだから。
あんなに大丈夫だと豪語していたのに、結局は社長の甘い毒牙にかかってしまい見事に堕ちるところまで堕とされてしまった1人。
本当…どんな顔して行けばいいんだ。
ブツブツ呟きながらどう頭を下げれば穏便に済ませてもらえるか、と考えながらとりあえず戻って来たものの。
何故か出向先に行っているはずの後輩である宮森 ゆきのと、私が戻ってくるのを今か今かと待っていたらしい部長の二人に
土下座されている。
これが冒頭の出来事。
そして……
額をカーペットに擦りつける勢いで土下座する二人に慌てて体を起こすように言って私も膝をついた。
「協力って…?何かあったんですか?」
「宮森の出向先である出版社からの依頼で、ぜひあの宮野社長を雑誌で特集させてほしい…との連絡があってだな」
よいしょ、といいながら体を起こす部長。