秘書課恋愛白書
そういえばゆきちゃん、××出版社に出向して役員の秘書をしてるんだっけ?
「宮野社長の特集ですか?」
「経済誌の社長インタビューコーナーです!今回は創刊10周年記念号とのことで普段なかなか表に出ないミステリアスな宮野社長を是非とも取り上げたいと役員も躍起になっててですね…」
「ミステリアス…かはわからないけど。言われてみれば…たしかにあんまり表には出ない」
社長あての取材を何回か断ったことがあるのを思い出しながら熱弁するゆきちゃんの話に相槌を打つ。
「あの宮野社長とラブラブになって引き抜かれた先輩のお願いなら、宮野社長もきっと聞いてくれますよね?!お願いしますぅううう」
ね?ね?と手を組んでキラキラとした瞳で私を見つめるゆきちゃんにゔ…と言葉を詰まらせた。
…やっぱり引き抜きの理由もバレてる。
思わず頬を赤く染めるとニヤニヤと、したり顔をしてみせた。
「こら!先輩をからかうんじゃありません!」
「羨ましいなーって思っただけです!」
「この件は一回持ち帰らせてもらって社長に聞いてみるよ」
「絶対に絶対ですよ!あっそうだ!ちなみになんですけど…」
そう言ってゆきちゃんはニコニコしながら私に数枚の書類を手渡した。
首を傾げながら中身を覗いて、パタンと閉じて顔を上げる。