秘書課恋愛白書
「なにこれ。こっちの話聞いてなんだけど」
「そ、それは私宛てにきた企画といいますか…」
様子を見て機嫌が良さそうな時にお話しようと思ったのよ!!
私なりにタイミングを見計らっていたが、これは完全に間違えたらしい。
急激に不機嫌になるとジロリと睨みを効かせつつ私を見上げた。
「綾女、ちょっと」
私を手招きする社長。
恐る恐るすり足で移動すると、腕を引かれて気づけば社長の膝に乗せられた。
「きゃっ!ちょっと…!」
だからあれほど、仕事中はこういうこと控えてほしいと言ってるのに!
お腹周りに腕を回されがっちりホールドされて逃げれない私は足をバタバタさせ降ろしてと喚く。
その間も社長は私の方の企画書に目を通して一言も喋ろうとしなかった。
「で、なんなの?」
「要はですね。派遣秘書の仕事を広めるために私を宣伝に使うっていう会社側の希望で…社長の件と一緒にモデルケースとして載せたいみたいです」
『噂の中原伝説に迫る!』という企画らしい。
「中原伝説って…もう綾女はあの会社の人間じゃなくなるし、僕の専属なんだからそんなのどうでもよくない?」
なにそれ、と笑う。
社長はそういうの関係なしに私に秘書を依頼してきたから知らないんだ…