秘書課恋愛白書
なんですか…と恐る恐る聞き返せば簡単だよ、とクスリと笑ってみせる。
あ…この顔は。
私にとってあんまり良くないことかもしれない。
だんだん社長の含み笑いに種類があることを覚えつつあった。
「僕のしたいことに付き合うこと」
「社長のやりたいこと、ですか?」
え、社長のしたいこと?
あまりにも普通のことを言い出すものだから拍子抜けしてしまう。
どこか行きたいところでもあるのだろうか。
もっとこう…社長のことだから変な条件を提示されると思った。
なんて、想像するあたり私もすでに毒されてる。
少し赤くなる顔を隠すように俯くと顎に手が添えられて社長の方を向かさせられた。
「綾女のえっち。僕が気づいてないとでも思った?」
「はい?!!」
フフン、と鼻を鳴らしてニヤリと口元を釣り上げる社長に目を見開く私。
嘘!そんなに顔に出てしまっていたとは…
顔から湯気が出そうなほど真っ赤になる私に気を良くしたのか私の首元に顔を近づけてきて触れるだけのキスを落とす。
「よからぬ想像したでしょ」
「してません!社長と一緒にしないでください!」
「はいはい。でも綾女の顔がそういうことしたいって言ってるからしてあげる」