秘書課恋愛白書
仕方ないなーと言いながら私のワイシャツのボタンに手を掛ける社長を必死で拒んだ。
「やぁっ…また、こんなとこで…やめっ!」
所構わず平気な顔してこういうことするんだから、根本的なところは全然直ってないのだ。
第3ボタンあたりまで外されて鎖骨、胸の谷間あたりまで唇を這わせ時々強めに吸い付く。
背中に回された腕が時々腰を撫でるたびくすぐったくて身を捩った。
本当にこの人ときたら…!
与えられる甘い刺激に耐えきれず漏れる声。
私の反応を楽しんで満足そうに微笑む社長はご機嫌そのもの。
頭に手が添えられてぐっと近く顔と顔。
唇か触れるか触れないかの瀬戸際でピタリと止まった。
ブルーの瞳が愛おしそうに私を見つめて吸い込まれそうになる。
そんな瞳で見つめられたらやっぱり許しちゃうじゃない…
なんてドキドキしながら目を閉じたら…
「はい、タイムアウト。帰るよ」
「っ?!」
え、また?!
パッと目を開くと、ペロリと舌を出して悪戯っ子みたいな表情をする社長にまたからかわれていたようだ。
時刻は20時を回るところでそろそろ警備員が一度社内を巡回してこちらに来る頃だろうか。
まるで見計らったようなタイミングで止める社長にモヤモヤ。
心なしか、最近こういうことが多い気がする。
寸止め、おあずけ、まるで私が自分から欲しがるのを待ってるみたいに…
「あー今日も疲れた」
「…お疲れ様でした」
欠伸をして窓から夜景を見下ろす社長の背中になんとも言えないモヤモヤを抱えたまま社長のデスクを片付ける私であった。