秘書課恋愛白書

「キャッ…!!」


誰かが叫んでやっと事の重大さに顔を青白くさせる私。

社長は私を抱きしめたままキスをやめず、終いには舌を滑り込ませてきた。

目を見開いたままガッチガチに固まる私なんて御構い無し。

好き勝手にする社長の舌遣いにドロドロに溶かされてしまう。


一体、何が起こっているんだ…

肩で呼吸して社長の胸にもたれ掛かる私を社長は軽やかにお姫様抱っこして扉に向かって歩き始める。


「え…ええっ社長…」

『み、宮野社長…これは…』



「こういうことだから。

僕、綾女にしか興味ないんだよね」


冷めた目をして周りにそう言い放った社長に不覚にもときめいてしまったのは言うまでもない。

その場にいた人間全員がそんな社長とお姫様抱っこをそれる私を凝視して開いた口が塞がらない様子。

してやったり…とニヤリと口角を吊り上げる社長は私を見下ろして、颯爽と会議室を後にするのだった。



***



「もう!どうしてあんなところでキスなんか!」

「自分の会社なんだから僕がどこで何をしようと誰に文句は言わせない」

「そういう問題じゃなくてですね?!いいんですか?!記者にあんなところ見せてどんなこと書かれるか…」

「勝手に言わせておけばいい。そんなことぐらいでダメージを受けるような仕事はしてない」
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