秘書課恋愛白書



「ねぇー…そんなに離れてたら意味なくない?」

「無理です無理です本当に無理なんですううう」


薄暗くアロマオイルの香りが充満する室内で…

浴槽の縁にしがみ付いて絶叫する私。

こんなの、聞いてないってば!!



「はぁー…」


短く溜息をついて社長は前髪を搔き上げると浴槽の中で私の体を思いっきり引き寄せた。

浴槽にしがみついていた手はあっけなく滑って離してしまった。


本当に…

『僕のしたいこと』=『一緒にお風呂』だなんて誰が考えるかー!

そんなの知ってたら絶対断ったのに!


「やだ!どこ触って…!!」


胸を鷲掴みされて悲鳴をあげる私に、うるさいと言って大きな手が私の口元を覆った。


「往生際が悪い。もう全部見てるんだからさー今更そんな恥ずかしがったって誘ってるようにしか見えないんだけど」

「ひっ…ぎゃっ!」


背中越しに社長の体温を感じて全身が茹でタコに早変わり。

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