秘書課恋愛白書
私の反応を楽しんで耳たぶを甘噛みして輪郭をぺろりと舐めて首筋に吸い付く社長はとっても卑猥。
世の中のカップルは本当にこんなことを楽しんでいるのだろうか…
27歳なのに歳だけ食った恋愛初心者みたいな私にはあまりにもハードルが高すぎる。
本当に無理…後ろ振り向かない。
明かりをつけてないのがせめてもの救い。
両手で顔を覆って羞恥で頭がパニックの私に、社長が耳元で囁いた。
「綾女、こっち向いて」
「嫌です…私いま、ヒドイ顔してる…」
「気のせいだよ。恥ずかしがってる綾女も可愛いから、ほら見せて」
そうやって言えば私がそっちを向くとでも思ってるのか…
余計に振り返り辛い。
ぎゅっと背中から抱き込まれて更に熱を感じる。
これがどちらの熱かなんてもうわからない。
社長の柔らかい髪の毛が頬や肩に触れてもっとドキドキする。
「どんな綾女も可愛くて好きだよ」
「……っ」
この人ときたら…
どれだけ私を堕とせば気が済むのだろうか。
息をするように甘い言葉を吐く社長にグズグズに甘やかされてこんな時でさえ従ってしまう単純な私…本当にバカ。
両手首を掴まれてされるがまま素直に腕を下ろし、精一杯になりながらもぎこちなく社長の方に振り返った。