秘書課恋愛白書
「やっとこっち向いた」
フッと笑って私の頬をするりと撫でた。
いつになく優しく微笑む社長にキューンと胸が締め付けられてニヤける口元を隠さずにはいられない。
アワアワする私の額に軽くキスを落とすと、そういえば…と何かを思い出したように口を開いた。
「中原伝説って、何?有名なの?」
「えっと…なんていうか、私が就いた社長の会社の業績が回復したり、波に乗ったり、一部上場したりという…仕事で成功するってジンクス…みたいな」
「へぇー…あーそう」
自分で言ってて超絶に恥ずかしくなってきて語尾が消えた。
キミそんなに凄いんだ、と関心する社長につい黙ってしまう。
「そんな綾女がずっと僕の専属でいたら、ウチはこれからどうなっていくのかなー」
まるでプレッシャーを掛けるような言い方にピシッと背筋が凍った。
「せ、精一杯サポートさせていただきます、よ…?」
チラッと上目遣いでそう言うと、一瞬社長が真顔になって数秒間が出来た。
あれ…なんか言うこと間違えた?