秘書課恋愛白書
社長はゆっくりと体を起こすと私の方へとやってきた。
お、ご自分で仕事する気になりましたか?
「僕が仕事してないとでも思った?」
そう言って私の目の前に置かれたノートパソコン。
画面に映るのは株取引の売買を進めていた形跡で…
いち、じゅう、ひゃく、せん、まん…と目で一個ずつ桁を確認していくとなんと、ウン億円の売買を進め利益を生み出していた。
………これは、まさか。
「……大変失礼いたしました」
そういった才能をお持ちだとはまったく存じあげませんでした。
心よりお詫び申し上げます。
頭を下げていると、ふと机に影が出来て何事かと思えば、社長が私の座っている社長椅子の後ろに回っていて後ろから覆いかぶさってきた。
「社長!何してらっしゃるんですか?仕事中ですよ」
「仕事じゃなかったら良いの?」
椅子に座ったまま伏せる状態でデスクに押し付けられる。
サラリと髪をすくとそのまま首筋を撫でる指にゾクっとした。
「仕事じゃなくてもダメです。こういうことは他を当たってください」
「僕はキミがいいんだけど」
まだわかんないの?と呆れたような顔をする。