秘書課恋愛白書
「久しぶりに来たかと思えば思いっきり酔える酒を出してくれなんて言ってね。一気に2杯も飲んだんだ」
「そうなんだ。あの人も常連さん?」
「そうそう。レイちゃん…彼とはもうかれこれ10年以上の付き合いになるかな」
え、レイちゃん?
彼って男の人なの?
ちゃん付けで呼ぶし、寝ている背格好は細身。
髪の毛も長いからてっきり女の人かと思った。
女の人なら少し介抱してあげようかなと思ったけど、男の人ならほっといても良いか。
レイちゃん起きて、とマスターは寝ている彼の肩を優しく揺さぶる。
「んん……」
少しくぐもった声を上げて身じろいだ彼。
顔をこちらへと向けて薄っすらと開かれた瞳。
透き通るようなブルーの瞳が私を捕らえて離さない。
うわ…綺麗な色。
「…………誰」
「誰でもないです」
だが、見た目と反して開かれた唇からは低めのハスキーボイス。
開口一番が誰と言われて思わず答えてしまった。
「あー…頭痛い。マスターいま何時?」