秘書課恋愛白書
「でも、毎日ドキドキして楽しそう〜。この歳になるとさ、現実としか向き合えなくて夢すら見れなくなるんだよ」
少女漫画みたい、と夢見るマリカ。
今年で27歳を迎えるアラサー女子。
両手で頬杖をついて短くため息をついた。
いろんな意味でこの1週間はドキドキさせられっぱなしだったわ。
枯れてた部分が急に潤い始めて、ただただ戸惑うことしかなかったけど。
「私だったらすぐ落ちる。社訓がなんだろうと落ちる」
「マリカはね。私は…この仕事で実績作ってもっと高みを目指したい。目指すはMキャリアの常務専務職よ。だから社長に絶対オチたりしない!」
いつまでそう言っていられるかな?とマリカは怪しい笑みを浮かべた。
「好きなんてさ…気づいたら始まってるもんじゃない?」
「好きな人と仕事してたら身が持たないよ。いいの!私は仕事が好きだから今は恋愛とか考えない!社長のことを好きになったりもしない!」
「わぁ頑固」
ハイハイ、と呆れたように返事してマリカはビールに手をつける。