秘書課恋愛白書

「凄い仕事とは?」

「秘書業を専門としてるんだよね?」

「マスター大袈裟。普通に仕事しているだけです」

「そんなことないですよ?誰かをサポート出来るなんて、人が出来てなきゃ務まりませんからね」



なんていい人なんだ…

眼鏡越しに優しく微笑む灰田さんが聖人に見える。

こんな人を素直に褒めれて柔らかい雰囲気をした素敵な人があの性格ひん曲がった傲慢社長の友達だなんて、本気で信じられない。

何か弱みでも握られているんじゃないかと勘繰ってしまう。


「さぞかし優秀なんでしょうね。ちなみにどちらで秘書をされてるんですか?」


よければ名刺交換しましょう、と言われて自分がここへ何しに来たかをハッと思い出した。

よくぞ聞いていただきました!

思い出したらイライラしてきてカクテルを一気飲みする。



「それは、ちょっと……」

「気に障りましたか?すみません」

「違うんです。実は今日仕事の愚痴をしに来たんです。灰田さんも少し関係あることなので嫌な気にさせてしまうかなって…」



仮にもあの宮野社長のご友人。

友達の悪口を聞くのはいかがなものだろうか。
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