秘書課恋愛白書
絶句するマスターと困惑気味に名刺を何度も見て驚きを隠せない様子の灰田さんに私は深く溜息を漏らした。
「ここで会って、名刺を渡しのがきっかけで宮野社長の秘書になったんですよ……」
はぁーと盛大に項垂れる私にマスターが慌てふためく。
「アヤメちゃんごめん!!僕が名刺ぐらい大丈夫だろうって促すようなことしたから…」
「マスターのせいじゃないです。悪いのは…悪いのは全部あのクソ社長なんです!!!」」
「ブッ」
だんだんとお酒の酔いが回ってきて気持ちが高ぶっているせいか今日までの4日間を振り返ると腹が立って仕方がない。
クソ社長…と笑いを堪えきれず肩を揺らして笑う灰田さんに私は掴みかかる勢い。
「なんで性格悪いあんな人にあなたみたいな常識人で聖人みたいな友人がいるんですか?!何か弱みでも握られてるんですか?!」
「中原さん、ぶくくっ…面白い人ですね」
私そんなに面白いこと言ってますかね。
こっちはわりと真面目に考えてるんですが。