秘書課恋愛白書
秘書という人物

ー怜 sideー



時刻は午後23時。

薄暗い社長室で一人一日の仕事を振り返りながら作業を進めていた。

綾女が絶対見ろと念押し置いていった書類に一つずつ目を通していく。


僕の秘書、中原 綾女 27歳。

鎖骨あたりまでの黒髪ストレートに、アーモンド型のくりっとした瞳。


身長もそこそこ高くすらっとしておりスーツが良く似合うバリバリのキャリアウーマン。

仕事一筋で責任感が強く、社長である僕に媚を売ったりしない。

まさに秘書には打って付けの女。

出会ったのは偶然あの日、行きつけのBARでだった。

あの日、僕は自分の人生に打ちひしがれていた。



高校時代から好きだった彼女がついに僕の幼馴染みで親友の男と結婚するとの報告を受ける。

電話越しで嬉しそうに話す彼女とは裏腹に、僕の気持ちは下がるところまで沈んでいった。

一番最初に報告したかったの、と言う彼女はとても残酷だった。


おめでとう。

その言葉を絞り出すまでにどのくらい時間がかかっただろうか。


彼女とは僕の方が先に出会った。

僕の方が先に見つけた。

僕の方が親友よりも先に好きになった。

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