秘書課恋愛白書

フッと笑ってみせると、一瞬面食らったかのように頬を染めると身を乗り出してきた。


すると、店の入口の方から大きな音が聞こえてきて、慌てたような親友の姿…たけるが視界に入ってきた。

探しましたよ、と言って額に汗を浮かべるたける。

あーあ、見つかってしまった。

こんな状態で行きたくはなかったんだけどな。



「おお、タケル君!君も久しぶりじゃないか。どう?一杯飲んでいかない?」

「お久しぶりですマスター。またご迷惑をおかけしたようで。お言葉は嬉しいのですが今日はこの後葵のところでパーティーなんですよ」


嬉しそうにたけるに話しかけるマスターだが、予定があると伝えられると残念そうな顔。

レイちゃん、お迎えが来たよと言って僕のお会計を始めるマスター。

ブラックカードを差し出して渋々お会計を済ませていると、たけるが隣の席のアヤメを見るなりピタリと動かなくなった。


……きっと同じことを考えたであろう。


何か顔についてますか?と首を傾げるアヤメにハッとしたたけるが慌てて言葉をかける。
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