秘書課恋愛白書
土日のうちに手筈は整えた。
月曜日が待ち遠しいのはいつぶりだったか。
いつになく晴れたような気持ちでアヤメが僕のところへ来るのを待ちわびていた。
だが、仕事が始まり金曜のパーティーを思い出すと少しむしゃくしゃした気持ちがおさまらない。
広い社長室に一人、窓を眺めて景色を見下ろしていると扉がノックされる音がした。
失礼します、と女性の声。
アヤメがきたかと振り返ると、頬をピンクに染めて書類を胸に抱えてその場に突っ立っている女性社員がいた。
なんだ違った、と思って短くため息を漏らす。
すると、僕のところまで近づいてきてデスクに書類を置くなりおどおどとしながらも話しかけてきた。
「あの…社長…わたし、こんなこと言うのもなんですが…社長のことをお慕いしてます…」
へぇ…いきなり何を言いだすかと思えば。
こんな性格してるのに、どうせ僕の地位に興味があって外見が好みなだけなんだろ。
顔を真っ赤にして俯く女性社員。
書類を持ってくる口実でのこのこと社長室へと足を踏み入れた。
名前も知らない、でも女は僕を好きだと言う。