秘書課恋愛白書

面白いくらい良い反応を見せ、コロコロと表情を変える綾女に目が離せない。


「み、宮野って言った…」


そうだよ、と答えるなり顔面蒼白。

触れてみたかったサラサラの髪の毛に指を通した。

キスされた頬を擦り僕を睨む綾女。

そして僕の秘書は出来ない、とやんわりと断りを入れる。


「いいの?そんなことして。僕を誰だか忘れた?」


ちょっと強めの口調で脅し文句を言い放つ。


「……どういう意味ですか」

「キミが辞めるっていうならあの会社にもいられないね?ほかに転職考えてもウチの影響力忘れてないよね?」

「キミ一人くらいどうにでも出来るんだよ」


綾女の耳元に唇を近づけそっと囁く。

ぺろりと私の耳たぶを舐めると、ひぃっと悲鳴をあげてさらに後退りするもんだからそのまま壁に押し付けた。

真っ直ぐに綾女の瞳を見つめると、ふいっと逸らされる。


「私は秘書です。これは一体何のマネでしょうか」


秘書、でしょ?

キミの勤めている会社は何をモットーに仕事してるんだっけ?

そう聞き返すとすぐに答えは返ってきた。
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