秘書課恋愛白書

「なんで僕が行かなきゃいけないの」

『いいんですか?このままお持ち帰りしても』

「なっ……」


たけるがそんな風に真面目な口調言うとシャレにならない。

アイツがそういうタイプじゃないのはわかってるが正直なんとも言えない。


『中原さんから聞きましたよ、怜。この人貴方の秘書なんですよね?』

「キミに何か言われる筋合いはない」

『ははっ…まだ何も言ってないですよ』


クスクスと笑うたけるに今度は盛大に溜息を漏らしてデスクの片付けを始める。

綾女…どこまでたけるとマスターに話したんだ。


「10分。手出したら殺すよ」

『怖い怖い。早く来てください、待ってます』



じゃ、と言って電話を切られツーツーと耳元で機械音だけが残る。


こんな時間までまた一人で飲んでたのかと、綾女の酒癖の悪さを痛感したところで車の鍵を手に社長室を後にした。



ー怜 sideー 終
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