秘書課恋愛白書
27歳になってまでお酒で失敗するとは思わなかった。
己の行動が許せない。
広い寝室には自分がいる大きなベッドと綺麗に片付けられたPCデスク。
それと整頓された本棚。
私の部屋と同じように無駄な物がなく、人が住んでる気配がほとんど感じられない。
……でもホテル、ではない。
もしかして、あの後飲んだ勢いで灰田さんと寝てしまったのでは。
ここは…灰田さんの部屋なんじゃないか。
世でいう"ワンナイト"というものをついにしでかしてしまったという恐怖に体が震えた。
しかも、相手はあの社長のご友人。
バレたら…とんでもない風潮が飛び交うかもしれない。
よし、謝ろう。
こんなどうしようもない女と寝させてしまった事実に。
謝れば社長や世間にも黙っててもらえるかもしれない。
なんてことをしてしまったんだ…と頭を抱えて項垂れていると入口の方から音がしてビクリと身震いする。
ああ、ついにご対面。
家主がきた、と思って恐る恐る顔を上げるとそこにいた人物に驚愕する。
「起きた?」
扉にもたれ掛かり腕を組んでこちらを見つめる宮野社長の姿がそこにはあった。