秘書課恋愛白書
なんで、なんで社長がここにいるんだ。
ポカンと口を開けて状況を飲み込めない私。
「その顔からするになんも覚えてないって感じだね」
やれやれ、と呆れた様子の社長は寝室へと足を踏み入れて私のいるベッドの元へとやってきた。
その格好はいつかの日のようなラフなもので、普段のスーツ姿とはまた違っていて新鮮味を感じる。
「しゃ、ちょう……灰田さんは」
「たける?なんでたけるなの」
「だってここ、灰田さんの家じゃ…」
「まだ寝ぼけてんの?ここは僕の家」
僕の家、だと…そんなまさか。
なんで私は社長のご自宅にいるんだ。
アワアワとする私に社長は言葉を続ける。
「まったく…秘書のキミがサポートされてどうすんの」
「おっしゃる通りでございます……」
返す言葉もございません。
まさか社長にお世話になるなんて思ってもみませんでした。
ベッドの縁に腰かけた社長は私と同じ目線になる。
ギシッと音を立ててベッドのスプリングが揺れる。
「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」
「で?昨日のことはどこまで覚えてんの?」