秘書課恋愛白書

「や、やだっ」


私の首筋に顔を埋めて啄むようなキスを落としていく。

時々ピリッとした痛みに体を捩る。

抵抗しようにも寝起きでしかもお酒の抜けてない体は力が入らずされるがままになってしまう。

いとも簡単に私の自由は奪われてしまい、両腕を片手で押さえつけてられてしまった。


「やめてください…」

「綾女がそんな格好して僕を誘うのが悪い」


誘ってなんかない。

くすぐったさに身を捩れば、獣のような目つきをした社長が性急に私の唇を塞いだ。

わざとらしい音を出して私の舌に絡みついてくる。

息する暇もないくらい口内を舌で侵された。


「綾女、鼻で息して」

「できなっ……」


そんな技術持ち合わせてるわけないだろうと目で訴える。

歯列をなぞり、時々上顎を擦る舌にゾクゾクして息が苦しくなる。

経験豊富な社長のキスはとことん私を堕落させた。

彼氏もいたことがある。

こういった行為をしたことがないわけじゃない。

でもこんな感覚は…初めてに近い。

気づけば腕の拘束は解かれていて社長の手が優しく頬を撫でる。

そして、ちゅ…と頬にキスを落として頬に触れていた手が頭の後ろへと回った。

ズクズクと熱は上がるばかりで冷めることを知らない。


「綾女、かわいい…」


目を細めて笑い、吸い付くように私の唇に唇を落とす。
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