秘書課恋愛白書
そんなことを考えてると、ぐいっと腕を掴まれた。
「綾女、いくよ」
「?」
どうぞ、となんの説明もないまま私たちの前を先導を切って歩く。
社長もぐいぐい私の腕を引きながら進んでいくもんだから足がもつれそうになった。
連れて来られたのは婦人服のフロア。
社長を見るなり次々に店員さんがお辞儀をしていく。
まるで王様が来たみたいな雰囲気に後ろで圧倒される私。
他のお客さんもその光景に驚きを隠せないようでヒソヒソと話し声が聞こえた。
社長を見るなり頬を赤らめる女性客。
こんな綺麗な顔した男の人が目の前を通ったらその反応には頷ける。
「あとはよろしく」
掴まれてた腕が解放されてポンと、背中を押されて社長はその場を去っていく。
嘘、置いてきぼり?!
「社長まっ………て。行っちゃった」
「中原様でございますね。話は聞いております、さっどうぞこちらへ」
「ええー……」
男の人に案内されて、女性の店員さん数人に囲まれたかと思えばいきなりメジャーで体中を測られる。
そして数点のスーツを持たさせられるとそのまま広い個室のフィッティングルームへと追いやられた。