秘書課恋愛白書
渋々言われた通りに着替えて脱いでを繰り返して、まるで着せ替え人形みたいな状態。
どのくらいの時間を過ごしていただろうか。
「中原様いかがでしょうか」
「いかがもなにも…なんでこんなことになってるのでしょう」
「宮野様から中原様のスーツを仕立てるように仰せつかっておりますゆえ、ぜひともお気に入りの一つをお選びください」
「なんでそんな…」
あれか、いくらスーツをクリーニングしたからってゲロったスーツで仕事されるのは気に入らないから新しいのを新調しろっていうメッセージか。
それ以外スーツを買う理由はない。
社長め、口で言えばいいのに。
仕方なく言われるがままに気に入ったスーツを選び体にフィットするようにセミオーダーのものにした。
すぐに出来上がるから、と一般人は入ることのない待合室へと案内され出されたコーヒーを飲みながら萎縮してしまう。
社長は私を置き去りにしたまま、未だに戻って来ない。
もう、社長は一体どこに行っちゃったのよ…