秘書課恋愛白書

真っ赤なスポーツカーにサングラスのブロンド美形。

くそう…平凡などこにでもある住宅街なのに絵になる。

天はどれだけこの人に与えれば気が済むのだろうか。


「京都行く準備しといてよ」

「……わかってますよ。出張だからついて行くだけですからね」


そうとも、遊びに行くわけじゃない。

じゃあまた来週、と言い残して真っ赤なスポーツカーは発車した。

見えなくなるまで車を見送って帰路を急いだ。



家につくと、どっと疲れが押し寄せた。

ベッドへと直行してそのまま倒れこむように沈む。

自分の部屋がこれほどまで安心出来るものだとは思わなかった。

もはやスーツが皺になるとかどうでもよくなるぐらい体は疲れていた。


寝転がりながら1日を振り返る。

昨日は親友と楽しく飲んで、馴染みのバーでも楽しいひと時を過ごしたはずなのに今日一日のせいでその楽しかった思い出が消えかかっている。

朝起きたら社長の部屋にいて、

社長のベッドで…キャー!!

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