先輩、好きです。
初めての夏
蝉の鳴き声がうるさいほど聞こえてくる夏。
私は貴重な部活のオフを、屋上に大の字になりながら過ごしていた。
高校生になって4カ月。
私は念願だった陸上部に入った。
私が通っている藤城高校は全国出場の経験もある学校だ。
そんな部活のオフは2週間に1日という、なんともハードなスケジュール。
でも、この部活にはいる部員はみな陸上バカに等しい。
だから、どんなにハードな内容でも大丈夫なんだ。
そして、その中に入った私も生粋の陸上バカであるということに気づき、笑いがこぼれてくる。
「ふっ…」
「なーにひとりでわらってんのよ」
「あ、梓」
空にポツリと笑ったつもりが、思わぬ返事が返ってきた。
視線を空から下げると、学校で一番仲良くしている井上 梓[いのうえ あずさ]がいた。