先輩、好きです。



あれから数日。


古典の授業を受けている私は、ちんぷんかんぷんな漢字の配列の解説に耳も傾けず、ノートの端っこに落書きをしていた。


あのあと先輩は、状況を理解してその恐ろしさに驚愕している私に、『がんばろうな』
と優しく声をかけてくれた。


そんな風に言われてしまったら、頑張るしかない。


それに、強化合宿ってことは今よりも一段階成長できるかもしれない。


「…よしっ」


右手で拳を作り、そう小さくそう意気込んだ。


夏の地獄合宿、やってやろうじゃないの。


待ってろよ、私の夏。


「頑張るぞー!」


「うるせぇぞ笹野ぉ!」


「ひっ…!す、すいません!」


勢いあまって叫んでしまった私が、そのあと職員室に再び呼ばれたのは言うまでもない。


***



そして、合宿当日。


朝の6時に現地集合という既に過酷な感じはするが、そんな早朝にもかかわらず1人として遅れることなく集合場所に到着した。

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