先輩、好きです。
ウィンドブレーカーを脱ぎ、ズボンのポケットに音楽プレーヤーをいれ、イヤホンを耳に差し込む。


すると自分と外の世界が確立されたような感覚になる。


「よしっ!頑張ろう!」


バチんっ!


自分のほっぺたを思いっきり叩いた。


その後の1時間程度私は誰もいなくなったトラックでひたすら走った。


さすがに最後にはクタクタになって、トラックのど真ん中に倒れ込んだ。


「あー、疲れたー!はぁ…はぁ…」


でも走った後の疲労感は別に嫌じゃない。


なんというか、清々しいものがあるんだ。


視界の端っこに見える時計台の時刻を見ると、6時半を少し過ぎたところだった。


「6時半かー。………ん!?」


6時半!?


もはやこの展開が私の定番ネタでもあるかのように、合宿リーダーが45分に集合がかかっていたことをすっかり忘れていた。


「やばいやばいやばい!」


叫んでも時間の有余が伸びるわけもなく、私は地面から飛び上がった。

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