先輩、好きです。
緊張とドキドキでたまらず私は目をつぶった。


「だめだろ」


1秒が何十秒、何百秒にも感じるような感覚だった。


しかし、先輩から発せられたのは、お叱り(?)の言葉だった。


「髪ちゃんと拭いてこないと」


「……へ」


先輩の思わぬ言葉に、顔を上げようとした瞬間。


先輩が手に持っていたタオルを私の頭の上にふわりと置き、頭をポンポンと優しく叩いて言った。


「これまだ使ってないから、拭きな」


「ありがと…ございます…///」


言われた通り、頭に置かれたタオルで髪の毛を拭いていくと、タオルから先輩の匂いがふわりと匂った。


び、びっくりした…っ。


先輩の言動にもいちいちドキドキしてしまう私は、本当にもう心臓がはち切れそうになっていた。


「じゃ、行くか」


何事もなかったように歩き出してしまった先輩の後をパタパタと手で顔をあおぎながら追いかける。


「…はいっ」


その後というもの、このことが頭で何度もプレイバックしてしまい、ご飯どころではなかった。


しかし、梓がその感の鋭さを発揮し、何があったのかと聞いてきてきたのでわけを話すと、


「ふ〜ん。あとで詳しく教えなさいよ」


とだけ言って、ハンバーグをパクリと口へ運んだ。

< 23 / 37 >

この作品をシェア

pagetop