先輩、好きです。
「な、内緒ですっ」


とっさに持っていたスマホを着ていたパーカーのポケットに入れる。


先輩と自分の写真を拡大して見てましたなんて死んでも言えない!


「なんだそれ」


と言いながら、クスッと笑う先輩の姿に胸が鳴る。


だめだ。


梓と話して決意してから先輩こととなると心臓がおかしい。


「こんなとこでそんな薄着でいたら風邪ひくぞ」


そう言いながら先輩は私の横に腰掛ける。


ドクン…、ドクン…、


心臓、うるさいな。


でも、ただ話をしてるこの瞬間だけでもすごく心地がいい。


ずっと、このままでいたいって思えてくる。


「大丈夫ですよ。私体温高いんで!」


「あー、確かに。笹野って体温高そうだよな」


「だから私、中学の時あだ名サニーでした」


「はははっ」


30センチの距離。


でも、この30センチがすごく幸せに思える。


「そういえば近藤先輩、どうしてここに?」


「あぁ。先生が笹野が洗濯ルームにいるから手伝ってやれって言われて」


「そうなんですね。でも、私ひとりでやれるんで大丈夫ですよ!」


こう見えて力持ちなんで、と力こぶを作りながら言う。


「先輩こそ、さっきまで練習したんですから、休んでください」


この合宿の間、私が自主練を切り上げて帰ると、時間ギリギリまで先輩は残って自主練をしていた。


そんな先輩を最後に遠目で見て自室に帰るのが私の日課でもあった。


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