先輩、好きです。
自分の気持ち






合宿が終わり、夏休み中最後の部活を迎えた。


大会まであと2週間。


集合時間より1時間早く着いた私はひとつの決心を胸に部室のドアを開けた。


「お、渚じゃない。おはよー」


「おはようございます先輩!」


そこには京果先輩の姿があって、他に部員はいなかった。
「今日早いじゃない。朝苦手じゃなかったっけ?」


「目覚まし4つかけたんで!」


「多いわね!なんか用事でもあるの?」


心臓が大きく跳ねた。


そう。


今日私が早く来た理由は、


「先輩にお話があります」


先輩に自分の気持ちを伝えるためだ。


自分で考えて考えて考えた結果、先輩とちゃんと話をしようと思った。


やっぱりこのモヤモヤした気持ちのまま先輩と過ごすのが嫌だし、


先輩にも知っていて欲しいと思った。


「わかった。じゃあグラウンドで先待ってる」


私の雰囲気を感じ取ったのか、先輩も少し改まった様子で私にそう告げ、部室を出て行った。


先輩が出て行った数秒後、ずっと硬直していた体を解し、思わず屈ませる。


「はぁーーー」


両手で顔を挟み、大きく息を吐く。


最初の一言でこんなに緊張するなんて…。


そう脳裏に言葉が浮かんだが、すぐに顔を左右に振る。


でも、弱気になっちゃダメだ。


ここからは私の、戦い。


顔につけていた両手で勢いよく頬を叩く。


バチンッ!


「よしっ!」





***

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